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孤立無援の〈医療訴訟〉 糖尿病の母を看護師に殺されかけた元看護師の闘い
¥2,310
警察も弁護士も裁判官も避けて通る立証が難しい「医療訴訟」――看護師による〈低血糖〉患者の殺人未遂事件――に元看護師が自力で挑み、あと一歩のところまで札幌の総合病院を追い詰めた迫真のドキュメント。 〈本文より〉 2016年、持病の糖尿病の治療のために札幌市内の総合病院に入院中だった当時85歳の私の母は、深夜に低血糖症状となり、夜勤の看護師に体調不良を訴えた。「低血糖」とは、血液中の血糖値が正常範囲以下(七〇ミリグラム/デシリットル以下)に下がった状態をいう。冷や汗や動悸・意識障害・けいれんなどが起き、そのまま放っておくと昏睡状態に陥り、最悪の場合は死にいたることもある。患者が低血糖になった場合は、マニュアルにそってすぐに看護師が対処(ブドウ糖の投与など)しなければならない。その後は急いで主治医に診てもらう。主治医が不在であれば、当直の医師の判断を仰がなくてはならない。医療現場では基本中の基本である。 しかし母が低血糖を訴えたとき、20代の女性看護師は処置室の掃除をずっとしていて母の訴えを無視し続けた。理由はわからない。このときの看護師の母に対する態度は明らかに異常なものだった。やがて看護師は処置室を出ていき、15分ほどして戻ってくると「先生に電話したけどつながらない。病室に戻ろう」と言って、苦しんでいる母を病室に戻し、ひと言もしゃべらないまま出ていった。母はベッドで意識が遠くなり死を覚悟した。…… 〈目次より〉 東西病院に入院するまで 東西病院での初診 東西病院の杜撰さ 看護師による「低血糖殺人未遂事件」の発生 東西病院の退院後 東西病院事務部副部長との面談 現場検証 心療内科の受診 さまざまな機関に相談する 警察に相談にいく 調停 刑事告訴、民事訴訟へ 民事訴訟の展開 告訴状の行方 判決と告訴の結果 記者会見 出版 〈著者略歴〉 十和田みどり(とわだ・みどり) 1960年代生まれ。看護学校を卒業後、札幌市内の複数の病院で看護師として10年ほど勤務したのち、出産を機に家庭に入る。 2016年、札幌市内の総合病院に入院中の糖尿病の母が、低血糖となって夜勤の看護師に助けを求めたにもかかわらず、看護師はなんの処置もせず母の命を危険にさらしたとして看護師を告発し、民事訴訟でも訴えた。本書はその全過程を記録したもの。 2022年8月10日刊行 四六判・並製・240頁
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中皮腫とともに生きる
¥2,200
病いによってどう生活が変わり、どんな困難に直面するのか? 2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなる時代。本書は5年生存率が1割程度という希少・難治性のがんになった人々の体験的知識を伝達する本です。26人の患者・家族の「ものがたり」が、いま、困難に直面している人に《前に進む力》をもたらします。 《中皮腫とは……》 2005年、「中皮腫」という言葉を多くの人がメディアを通して知ることになりました。アスベスト(石綿)を取り扱う工場の従業員や家族、近くの住民に中皮腫や肺がんなど深刻な健康被害が出ていることがわかったのです。中皮腫とは、内臓を覆う膜の表面にある「中皮」と呼ばれる細胞から発生する悪性のがんで、アスベストを吸い込むことで発症します。しかし潜伏期間が40年にも及ぶことがあり、患者はある日突然「中皮腫」といわれ戸惑います。本書の執筆者は全国の中皮腫患者と家族・遺族の26人です。現在闘病中の人も、長期生存を果たしている人も、病気の家族を支えている人も、家族を見送った人もいます。医学的な情報は病院や資料から得られますが、病いによって生活がどう変わり、どのような困難に直面し、どう対処するのか、どんな気持ちになるのかは当事者の言葉でなければ分かりません。〔はじめにより〕 《目次より》 はじめに――希少・難治性がん患者と家族の26の「ものがたり」 Ⅰ 中皮腫と診断されて 保育士の仕事と治療の両立……鹿川真弓(沖縄県) 子どもたちの前では絶対に泣かない……Y・O(静岡県) サポートされる側とする側の両方を経験して……原修子(埼玉県) 中皮腫の仲間たちとともに……右田孝雄(大阪府) 家族の励ましと社員の頑張りに支えられて……平田勝久(岐阜県) がんはハンデじゃない……田中奏実(北海道) 中皮腫になって得られた出会いと経験……舘山亮(北海道) 医師として働き、患者として助けられて……中島喜章(新潟県) 功を奏したセカンドオピニオン……山中伸治(東京都) この素晴らしい日々が長く続くように……尾上一郎(兵庫県) 自分が納得できる人生を送れたら……黒木公明(山口県) 「今はあかん」と誓って生き延びた……田村勝也(大阪府) Ⅱ 家族としての思い 無理せず、のらりくらりといきましょう……黒田しげみ(埼玉県) 患者としてのがん体験から娘としてのがん体験へ……浅原和香子(大阪府) 四人の子を残して何も言わずに逝った夫……小菅千恵子(埼玉県) 祈るような思いで寄り添い続けた二年間……後藤里美(愛知県) 悔いの残らない看病ができた……栗田悦子(群馬県) 母の死を語ったときにようやく涙がこぼれた……松島恵一(埼玉県) 本当の娘のように看病して……松島和恵(埼玉県) 夫の死から三五年後の公務災害申請……後藤雅子(大阪府) ヤンチャな笑顔を守りたくて……福田靖美(兵庫県) 一人にしないで、一緒に連れていって……有賀忍(東京都) 互いへの思いを伝え合って最期を迎えられた……影山小百合(静岡県) 変化していった夫婦の関係……尾上貴美子(大阪府) 父の最期を看取って……山田哲也(大阪府) 無我夢中でサポートして寄り添った日々……内田優子(大阪府) Ⅲ 中皮腫の仲間をサポートし続ける……右田孝雄×大島寿美子 おわりに――気持ちの分かち合いと体験的知識の伝達 《編者略歴》 大島寿美子(おおしま・すみこ) 1964年東京生まれ。千葉大学大学院理学研究科修了。北海道大学医学研究科修了(医学博士)。共同通信、ジャパンタイムズ記者を経て、現在、北星学園大学文学部心理・応用コミュニケーション学科教授。NPO法人キャンサーサポート北海道理事長。 著書に『がんの「語り」――語り手の養成から学校・医療・企業への派遣まで』(共著、寿郎社)、『「絆」を築くケア技法 ユマニチュード――人のケアから関係性のケアへ』(誠文堂新光社)、『アスベスト禍はなぜ広がったのか――日本の石綿産業の歴史と国の関与』(共著、日本評論社)、編書に『北海道でがんとともに生きる』(寿郎社)などがある。 2022年7月15日刊行
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がんの「語り」――語り手の養成から学校・医療・企業への派遣まで
¥2,420
マイナスに思えた体験がプラスに変わり、語り手と聞き手双方に「前に進む力」をもたらす〈がん体験の語り〉。その語り手の「語り」の作り方から学校・医療機関・企業での講演の仕方まで、NPO法人キャンサーサポート北海道が培ってきたノウハウを公開した、〈がん体験社〉〈がん教育・啓発活動に携わる方〉必読のテキスト B5判/並製/92頁 [目次より] 第1章 語りの意味 1-1 語りとは 1-2 がん体験の語りが必要とされる背景 1-3 私たちの「語り」の特徴 事実と気持ち サポートスタッフとの共同作業 「患者」ではなく「人」としての語り 第2章 語りを作る・語る 2-1 原稿を書く まずは「年表」 「カルテ」はいらない 時の流れに身をまかせないで 人間関係のもつれ 同音異義語 固有名詞は慎重に 気持ちを引き出す みんなで作る 2-2 語りを磨く スライドの作成 発声練習 動画やオンライン 第3章 語りを活かす 3-1 学校教育に活かす わかりやすく、一文は短く 語りを助けるスライド 「怖がらせて終わり」はNG まず、先生にわかってもらおう 事前打ち合わせにこそ時間をかけよう 教訓はいらない 質問や感想文は宝物 乳がん体験者が語った例 小学5年生の道徳授業 精巣がん体験者が語った例 中学1年生の道徳授業 配慮が必要な子がいる場合 3-2 医療に活かす 治療やケアに役立つ「がんの語り」 がんで変化した日常・医療者との関係を語ろう [診断前の生活を大切に] [診断・治療方針の決定 そのとき] [治療による心と身体の変化 医療用語はどんどん使おう] [医療者の言葉・態度に一喜一憂] [治療後の暮らし 私が病いを語る理由] 医療者に語りを届けるまでの準備 医療者の前で語る 緩和ケア研修会で語った例 [アンケート結果に手ごたえ] [共感し、理解を深め学ぶ 自分の言動を振り返ることも] 3-3 企業研修に活かす 企業として体験者に聞きたいことは? 両立の工夫を語ろう 退職した理由を語ろう 就労支援解説とセットでも 第4章 養成・派遣の窓口とお金の話 多様な研修会で 全国で 私たちの経験では 報酬決定 こう考える [語ってみました……横田文恵/Y.M./前川純子/内藤郁子/山崎政彦/和賀豊/井上美智代] 付録 年表/ストーリーボード/原稿用紙 [著者略歴] 大島寿美子(おおしま・すみこ)……NPO法人キャンサーサポート北海道理事長。北星学園大学文学部心理・応用コミュニケーション学科教授 米田純子(よねた・じゅんこ)……NPO法人キャンサーサポート北海道理事 宇佐美暢子(うさみ・のぶこ)……NPO法人キャンサーサポート北海道理事。札幌市がん教育実践研究会委員 木村恵美子(きむら・えみこ)……NPO法人キャンサーサポート北海道理事。緩和ケア認定看護師
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精神保健福祉の実践――北海道十勝・帯広での五〇年
¥2,200
小栗静雄著 「へぐり語録」編集委員会編 「精神障害者」と呼ばれる人たちとどう向き合ってきたか――。「精神保健福祉士」(PSW)という国家資格ができる前から精神保健福祉の先進地・北海道十勝地方で精神科ソーシャルワーカーとして奔走してきたベテランPSWの〈へぐりさん〉が、自問自答しながらその波乱に満ちた半生を振り返った、対人福祉援助に関わる人必読の本です。PSW7仲間による、さまざまな現場で役立つ〈へぐり語録〉も収録。 【目次より】 [第一部]精神科ソーシャルワーカー五〇年……小栗静雄 第1章 新人ワーカーの苦悩と十勝の先進性 ●入院者の日常に衝撃を受ける ●精神障害者処遇の黒い歴史を垣間見る ●暴力装置とも言われる強制的入院 ●屋根裏部屋の崩壊家族 ●前代未聞のリクリエーション――病棟でのストリップショー 第2章 越境するソーシャルワーカー ●「Y問題」から導き出された「札幌宣言」とは ●日本の精神医療はどうなってる ●ある悪しき精神病院のこと ●寝耳に水の病棟閉鎖、昼休みのビラ配り 第3章 社会の中のソーシャルワーカー ●ケアマネ連携の不自由 ●セルフプランはどうあるべきか ●ソーシャルワークの踏み絵――情報管理 ●精神障害に関わる新聞報道について ●インフォームド・コンセントとは何か――COMLから学ぶ 第4章 ソーシャルワークは終わらない ●私の家庭――貧困と粗暴な兄弟の中で ●留年と授業ボイコットの高校時代 ●「やどかりの里」の谷中輝雄さんとの思い出 ●「どうして逃げてばかりいるんだよ! アンタは!」 [第二部]仲間が紡ぐ「へぐり語録」……北海道十勝の保健師/坪井一身/大辻誠司/今井博康/黒木満寿美/栗野明子/三品斉 A5判並製240頁(2021年6月30日刊行予定)
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ふまねっと運動のすすめ 認知機能を改善する高齢化地域の健康づくり
¥2,200
北澤一利著 あみを踏まずに歩くだけで高齢者の「注意力」「集中力」「記憶力」がアップする、ふまねっと運動。だれでもできる、どこでもできる、楽しくできる筋トレいらずの運動だから、いま、国が進める「ポピュレーションアプローチ」の実践例としても注目され、全国の介護施設や行政の健康づくり講座に広まっています。運動に参加した高齢者自身が「指導者」になれるのも大きな特長。地域社会での「認知症予防」「孤立防止」「介護費削減」にも役立つ、そのノウハウを本書でわかりやすく解説しています。 A5判並製204頁 2021月5月31日刊行
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世界のひきこもり
¥1,980
ぼそっと池井田著 いじめ、うつ病、虐待、貧困……共通因子が見えてくる、ひきこもり歴35年の著者によるネットを通じた驚天動地の対話集。ひきこもりは日本特有の現象でも〈甘え〉によるものでもなかった!? 世界13カ国の当事者の声を聞け。 【目次】 ●はじめに――地面を掘って国境を越える ●フランスのひきこもりギードの場合……「ぼくは孤独が好きなんだ。パソコン、ベッド、安らぎがあれば十分さ。」 ●フランスのひきこもりテルリエンヌの場合……「ひきこもりになんて、なりたくなかった。」 ●中国のひきこもり ●アメリカの元ひきこもりショーン・Cの場合……「“伝統的な男性性”をぼくに期待するパパは敵だと思った。」 ●アレゼンチンのひきこもりマルコ・アントニオの場合……「いじめる側を擁護する学校なんてごめんだ。」 ●インドのひきこもり ●インドの元ひきこもりニティンの場合……「私たちは自分自身になるために少し時間が必要なだけなのです。」 ●イタリアの社会心理学者マルコ・クレパルディとの対話……「彼らを助けたい、いや、『ぼくら』を助けたいのです。」 ●父との最後の電話 ●パナマ共和国のひきこもりヨスーの場合……「ぼくはゴミだ。カスだ。負け犬だ。このままでは死んでしまう。」 ●フランスのひきこもりアエルの場合……「ひきこもりになってぼくはようやく自分を生き始めた。」 ●スウェーデンのひきこもり ●バングラデシュのひきこもりイッポの場合……「ぼくは自分で自分を部屋に監禁するようになったのさ。」 ●フィリピンのひきこもりCJの場合……「日本のひきこもりはなんて恵まれているんだ!」 ●カメルーンの元ひきこもりアルメル・エトゥンディの場合……「解決や成功を得る場所は、“社会”の中だけとは限らない。」 ●北朝鮮のひきこもり ●フランスのひきこもりジョセフィーヌの場合……「醜くて、軽蔑に値して、病的であるのは社会の方よ。」 ●台湾の映画監督盧德昕との対話……「ひきこもりにとって理想的な世界はどんなものですか。」 ●おわりに――ひきこもりのインタビュー論 【著者略歴】 1962年、横浜生まれ。東京都下在住。ひきこもり当事者や経験者の声を発信するメディア「ひきポス」の編集委員。 大学卒業を目前に控えた就職活動中にひきこもり始め、以後、形態をさまざまに変えながら断続的に35年ひきこもっている。 2017年、世界ひきこもり機構(GHO)を創設。近年は、長期化・高齢化したひきこもり当事者とともに、家族の語らいの場「ひ老会」や「ひきこもり親子公開討論」を主催している。 四六判並製288頁(2020年10月30日発行)
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いわて星日和
¥1,870
有田美江 四六判 272頁 並製 ISBN978ー4ー909281ー04ー3 C0095 発売日 2017年8月 ダウン症の娘とともによりよい環境を求めて札幌から岩手県奥中山へ移り住んだ著者のイーハトーブな日々を綴った移住エッセイ。
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北海道でがんとともに生きる
¥2,200
大島寿美子編 四六判 240頁 並製 ISBN978ー4ー902269ー96ー3 C0077 発売日 2017年5月 二人に一人ががんになり、三人に一人ががんで亡くなる時代。北海道在住のさまざまながんの体験者28人が書いた〈病気のつらさ〉と〈前向きに生きるコツ〉。がんに悩む人々に多くの示唆と勇気を与えてくれる本。
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低周波音被害を追って
¥2,090
汐見文隆 四六判 240頁 上製 ISBN978ー4ー902269ー94ー9 発売日 2016年10月 低周波音被害とは人間の耳には聞こえない低周波の空気振動が頭痛・吐き気・呼吸困難・しびれ等を引き起こす健康被害のこと。「聞こえないけど苦しい」と訴える被害者の救済に取り組んだ著者の40年の集大成。今後、より大きな問題となっていくであろう”知られざる公害”について書かれた衝撃の一冊。
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泊原発とがん
¥770
斎藤武一 A5版 68頁 並製 ISBN978ー4ー902269ー87ー1 C0036 発売日 2016年10月 著者・斎藤武一が保健所で偶然手に入れた資料『北海道における主要死因の概要』――。その統計資料によると、泊原発が稼働してから【がん死亡比】がナンバー1の道内市町村は「泊村」であるという。2位は対岸にある「岩内町」、3位も近郊の「寿都町」……。事故が起きなくても放射性物質を出し続ける原子力発電所。泊原発の放射性物質は、風に乗り、雨に混じり、北海道各地に降り注いでいるのではないか!?〈泊原発とがん〉の関係について論じた衝撃のリポート。
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ハンセン病
¥2,200
三宅一志・福原孝浩 四六判 上製 ISBN978ー4ー902269ー60ー4 発売日 2013年5月 国立ハンセン病療養所の取材を朝日新聞の定年退職後も続けてきた三宅一志と人権問題に長年携わってきた福原孝治が、明治から平成まで続いた〈医療政策の闇〉分け入り記録した、療養所入所者たちの想像を絶するヵ国な人生。日本残酷物語。
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家族とともにココロの病気と生きるコツ
¥1,540
佐々英俊・高松紘子 四六判 並製 ISBN978ー4ー902269ー25ー3 発売日 2008年5
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