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反ヘイト・反新自由主義の批評精神——いま読まれるべき〈文学〉とは何か

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“批評”は停滞と閉塞を打ち破る。アイヌ民族・沖縄・原発などをめぐってSNSで欺瞞がはびこり、「極右」「オタク(萌え)」「スピリチュアル」な言説がもてはやされるなかで、気鋭の文芸批評家が放った渾身の“一矢”。
文学界・思想界からの反響・反発が必至の〈禁断〉の文芸評論集。

岡和田晃 著

2018年8月刊
四六判/並製/434頁
本体2000円+税〔税込2200円〕
ISBN 978-4-909281-12-8 C0095

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【目次】
はじめに

Ⅰ ネオリベラリズムに抗する批評精神
 ◉真空の開拓者——大江健三郎の「後期の仕事」
 ◉「核時代の想像力」と子どもの「民話」——『はだしのゲン』への助太刀レポート
 ◉世界の革命家よ! 孤立せよ!
 ◉「歴史の偽造」への闘争——『日本人論争 大西巨人回想』
 ◉文学に政治を持ち込む戦術の実践——陣野俊史『テロルの伝説 桐山襲烈伝』
 ◉高橋和巳、自己破壊的インターフェイス
 ◉破滅の先に立つ批評——神山睦美『希望のエートス 3・11以後』
 ◉「近代文学の終り」と樺山三英「セヴンティ」——3・11以後の〈不敬文学〉
 ◉選び取り進むこと——山城むつみインタビュー

Ⅱ ネオリベラリズムを超克する思弁的文学
 ◉青木淳悟——ネオリベ時代の新しい小説
 ◉「饒舌なスフィンクス」からの挑戦状——青木淳悟『匿名芸術家』
 ◉『北の想像力』という巨大な〈弾〉
 ◉『北の想像力』の試み——「仮説の文学」でネオリベに対峙
 ◉『北の想像力』という「惑星思考」——山林に自由存せず、から始まる〈北海道文学〉史の再考
 ◉「私」と〈怪物〉との距離——藤野可織の〈リアリズム〉
 ◉日常の裏に潜む別世界——小山田浩子『穴』
 ◉林美脉子という内宇宙
 ◉「作者の死」、パンドラゲートのその先へ——林美脉子『タエ・恩寵の道行』栞文
 ◉文学による「報道」——笙野頼子『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』

Ⅲ 北方文学の探求、アイヌ民族否定論との戦い
 ◉小熊秀雄を読む老作家・向井豊昭を読む
 ◉夷を微かに希うこと——向井豊昭と木村友祐
 ◉アイヌ民族否定論の背景
 ◉環太平洋的な「風景」を描いた民族誌——金子遊『辺境のフォークロア』
 ◉私たちは『アイヌ民族否定論に抗する』をなぜ編んだか——岡和田晃×マーク・ウィンチェスター
 ◉北限で詠う詩人たち、「途絶えの空隙」とそこからの飛翔
 ◉放射能が「降る降る」現実を前に——小坂洋右『大地の哲学 アイヌ民族の精神文化に学ぶ』
 ◉中央の暴力を掻き回す辺境の言葉——向井豊昭『怪道をゆく』
 ◉ノッカマップを辿り直して
 ◉「がんばれニッポンっ!」という空白を埋める——木村友祐『イサの氾濫』
 ◉生きられる隙間を探せ——木村友祐『野良ビトたちの燃え上がる肖像』
 ◉歴史修正主義に抗する先住民族の「生存の歴史」——津島佑子『ジャッカ・ドフニ』
 ◉津島佑子と「アイヌ文学」——pre-translationの否定とファシズムへの抵抗
 ◉歴史修正主義と〈マイノリティ憑依〉をともに打破する言葉はどこか——教育者にして作家・向井豊昭の調査と思索、その原点
 ◉〈アイヌ〉をめぐる状況とヘイトスピーチ——向井豊昭「脱殻」から見えた「伏字的死角」
 ◉「文化振興」に矮小化される「アイヌ政策」を批判、表象と政治のねじれた関係を解きほぐす——計良光範『ごまめの歯ぎしり』
 ◉マイノリティ相互の関係史を資料と証言で掘り下げる——石純姫『朝鮮人とアイヌ民族の歴史的つながり』
 ◉江原光太と〈詩人のデモ行進〉——『北海道=ヴェトナム詩集』再考
 ◉江原光太と〈詩人的身体〉——郡山弘史、米山将治、砂澤ビッキ、戸塚美波子らを受け止めた器
 ◉断念の感覚の漂着点——中原清一郎『人の昏れ方』
 ◉異議を申し立てる文学——木村友祐『幸福な水夫』

Ⅳ 沖縄、そして世界の再地図化へ
 ◉沖縄の英文学者・米須興文の「二つの異なった視点」——主に『ベン・ブルベンの丘をめざして』収録文から考える
 ◉移動と語りの重ね書きによる世界の再地図化——宮内勝典『永遠の道は曲りくねる』

あとがき

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【著者略歴】
岡和田晃(おかわだ・あきら)
1981年、北海道上富良野町生まれ。早稲田大学第一文学部卒。筑波大学大学院人文社会科学研究科で修士号を取得。文芸評論家、ゲームデザイナー、東海大学文芸創作学科非常勤講師。「「世界内戦」とわずかな希望——伊藤計劃『虐殺器官』へ向き合うために」で第五回日本SF評論賞優秀賞受賞(2010年度)。2014年、『北の想像力——《北海道文学》と《北海道SF》をめぐる思索の旅』(編集、寿郎社)で第35回日本SF大賞最終候補。2016年、『破滅(カタストロフィー)の先に立つ——ポストコロニアル現代/北方文学論』で第50回北海道新聞文学賞創作・評論部門佳作。2015年の『アイヌ民族否定論に抗する』(共編著、河出書房新社)は広く話題となり、関連して、反ヘイトの評論・公演活動を行なう。
その他の著作に『アゲインスト・ジェノサイド』(新紀元社)、『「世界内戦」とわずかな希望 伊藤計劃・SF・現代文学』(アトリエサード)、『向井豊昭傑作集 飛ぶくしゃみ』(編著、未來社)、『向井豊昭の闘争 異種混淆性(ハイブリディティ)の世界文学』(未來社)、『世界にあけられた弾痕と、黄昏の原郷——SF・幻想文学・ゲーム論集』(アトリエサード)、『石牟礼道子——さようなら、不知火海の言魂』(共著、河出書房新社)など。『エクリプス・フェイズ』(筆頭訳、新紀元社)ほか翻訳書も多数。
日本文藝家協会、日本SF作家クラブ、日本近代文学会、それぞれ会員。

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